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夢を叶える男の子の育て方(うまのブログ)#72

賢い女の子とおバカな男の子

 

ある進学塾での話。毎年2月になると都内の私立中学では一斉に入試が始まる。私は長い間算数の教師をしていたので、入試前後の子どもたちの心理や行動をよく目にしてきたものだ。本番ぼ入試で女の子はだいたい力通りに結果を出すが、男の子にはいわゆる番狂わせが多いものだ。なぜだろうか。教師としてこれをなんとか解決して、努力や実力通りの毛っこが出るようにしてあげたいと思ったものだ。

「先生、僕は合格できるよねえ、だって自信あるし模試でも合格圏内だったから」

「ああ、大丈夫。落ち着いて問題をよく読むんだよ」

「うん、最近は大事なところに線を引きながら読むようにしているから」

「そうだ、落ち着いてね」

この会話をした子は落ちてしまった。原因は問題の読み間違いだった。

「先生、私ダメだよね。最近入試のことを考えるとドキドキしちゃって、夜も眠れないの」

「君は図太いからだいじょうぶ。落ちないよ」

「やだー、心配してる私の心がわかってもらえない、悲しい」

「まあ、ミスしないように、丁寧に問題を読んでね」

「はーい」

この女の子は楽々合格した。二人の模試での成績はほぼ同じ。この差はいったい何なのか。

男の子の持ち味はおバカなのに、この場合普段と違う持ち味を出そうとしたことが、失敗の大きな原因なのだ。女の子は普段から賢いのがリズム。男の子は普段からおバカなところがリズム。入試だからといってリズムを変えてはいけないのだ。

「よーし、合格したら回転寿司の食い放題に連れて行くぞ」

「わーい、やったー」

というノリの方が、男の子は合格するものなのだ。

後日談。合格した男の子が一人で報告と挨拶にやってきた。

「先生あり。合格したよ。これお礼です」

そう言うと、その子はビニール袋から大事そうにミニシュークリームのパックを取り出して、こちらに差し出した。

「ありがとう、そしておめでとう。先生もチョー嬉しかったよ」と言うと、男の子はピョコンとおじぎして帰って行った。ふと見るとシュークリームのパックに280円の値段シールが残っていた。

「本当におめでとう!」

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