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夢を叶える男の子の育て方(うまのブログ)#15

プラス思考と自信

 

『プラス思考をして損なことは何一つない。プラス思考こそ成功のための大事な鍵だ。積極的な思考は人を動かし、歴史を動かしてきた』

自信は己を正しく分析し長所、短所を把握することによって生ずる。プラス思考の元は自信を持つことである。

弱気になるとすべてが後ろ向きに逆回転する。人には雌時と雄時がある。弱気で後ろ向きな雌時に決めたことはだいたい失敗するが、勇ましく前向きの雄時に決めたことは、うまくいくことが多い。

強きになると幸運が味方することが多い。幸運の女神は強気が好みだ。

強きになるにはプラス思考の習慣が必要である。そのためには自分自身の長所、短所をよく理解し、使い分けるようにすると自信が身に付く。そして簡単なことでいいから小さな成功体験を持つことである。

いろいろな情報を整理して、正しく判断しないと人はマイナス思考になりがち。ただし、一度プラス思考の習慣が身に付くと弱気から解放される。

自信こそ将来に向けての挑戦意欲につながる。だから、自分自身を自分で認めなくて、誰が認めてくれるのか?君は自分自身が好きだろうか。自己嫌悪はあまり続くとマイナス思考になるから要注意。極端でない限り自己愛を持っていることはとても良いことだ。

マイナス思考になって何が良いのか?臆病になるだけだ。プラス思考、積極思考でいた方がすべての点で得なことは間違いない。

夢を叶える男の子の育て方(うまのブログ)#14

トラブルの解決法

 

『一人で解決するな。専門家の力を借りよ』

すべてのトラブルは正しく対処することによって解決する。一人で悩まず、必ず多くの人に相談せよ。

当事者同士で話し合わずに、弁護士のような第三者を通したほうが良い場合が多い。

トラブルの多くは早めに手を打つことによって、解決が楽になる。放置しないほうが良い。

決して感情的にならず冷静に対応することが必要。その際一人で判断せず、人の意見を必ず聞くようにしよう。

相手の立場になって考えると容易に解決策が見つかることが多い。特に話し合いになった場合は、まずよく相手の話を聞くことが解決の第一歩である。

専門の知識が必要な場合は専門家に相談すること。専門家はこんな時のためにいるのだから大いに利用したほうが良い。

まったく損をしないような解決策は考えるな、相手の逃げ道も用意せよ。

特にいじめのような原因がないようなトラブルは、一人で解決せずに多くの人の知恵を借りよ。恥ずかしいことでも何でもないから、みんなに相談して解決策を見つけるようにしよう。

夢を叶える男の子の育て方(うまのブログ)#13

人生の罠、落とし穴

 

『人は威張ったり驕ったりすると没落することが多い。そしてみじめな思いをするものだ。このことは長い人生でよく目にする出来事でもある。「おごれる者も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし」(平家物語より)』

人生の最大の過ちは、すべてその人の傲慢に起因する。

利害に関するもの、詳しい知識が必要な根本的なことは、専門家に必ず相談せよ。

世の中に決していい話はない。タナボタ式のいい話には絶対に乗るな。あとで悪い結果が待っている。

自分の評価を常に正しく把握することが大切、同時に人の評価も正しくするよう努力せよ。この際自分には甘い評価をしがちになるから注意せよ。

お世辞を言う人間と暗い人間には、近づかぬよう、近づけぬようにせよ。

どんな人に対しても、威張らずに優しく謙虚に接することが肝心。

調子に乗ったり、傲慢になったりして人生を賭けるようなこと、一か八かの勝負はするな、必ず失敗する。

勝負を賭けるのは、勝算が120%以上ある時だけにせよ。

夢を叶える男の子の育て方(うまのブログ)#12

人の見方、見抜き方

 

『人の見せる態度には嘘が多いことを知れ。だからすぐに感心しないで、よく相手を観察することが大事である』

人は見かけによらぬもの

見るからに大げさな人は、実は逆で力がないことが多い。

巧言令色〔お世辞やうやうやしい態度〕は嘘が多いから注意せよ。

豪放磊落に見える人ほど小心である。

人と群れたがる人は、お人好しで気の弱いところはあるが、親切である。

いかにも仕事ができそうな人ほど、仕事ができないことが多い。

見るからの優しさや親切には、必ず狙いがあるから注意せよ。

安請け合いや調子の良い返事は、誠意がないものだ。

人の話をよく聞く人は優しい心の持ち主である。

注意をしてくれない人は、こちらに興味がない。逆によく注意してくれる人は、本当に優しい人だから大切にせよ。

まじめで融通の利かない人は裏切らないから大切にせよ。

お世辞には必ず狙いがある。特に人の劣等感や悩みをついてお世辞をいう人には注意せよ。

指導者で部下や子どもを放任する人は指導の自信がない。

暗い人は思わぬ敵意を持ちやすいから、近づかない方が良い。

親孝行な人は義理堅く誠実である。親孝行は、人を判断する時の最高の材料である。

口数の多い人は我慢が下手である。口数の少ない人は逆に我慢強い。

愚痴を言う人は伸びない。愚痴は可能性の扉を閉ざしてしまうから、言わないようにしよう。

仕事や動作の変わり目に時間のかかる人は、世間知らずでのんびり屋だ。

自信のある人ほど人の忠告をよく聞く。逆に自信のない人は耳に栓をして、人の忠告を受け入れない人が多い。

人のことを考えないマイペースな人は実行力がある。

知識や情報はマイナスイメージをもたらすことがあるから、情報過多にならないように気をつけよう。

態度に見える人の本質

商売の際に、値切る人こそ真剣に買いたいと思っているから大切にしよう。

本当のお金持ちは質素に生きている。派手に生きて羽振りの良い人は一時的なものであることが多い。

部下として最も大切な資質はまじめさと従順さである。

上司として最も大切な資質は、部下への思いやりと責任感である。

最も大切な男らしさは、度胸と家族を守る気持ちである。

最も大切な女らしさは、愛嬌と家族をまとめる安定力である。

人は別れ際、去り際に本心があらわれる。

愚痴や文句を言わない人は幸せになる。

人に恩を着せる人は、そのために自分自身で苦しむことが多いから、人にかけた恩は忘れるようにしよう。

厳しいところに飛び込んでいく勇気のある人は、成功する確率が高いが、身の安全を測りながらやる必要がある。

人は自分を認めてくれる人の前では全力を尽くす。これは人使いの大事なポイントである。

自分にやましい所や弱みがある人は、人に対して甘くなりがち。

仕事に真剣に取り組んでいる上司は部下から見て怖いもの。部下に優しく甘い上司になってはいけない。

人には守備範囲があり、オールマイティーな人など絶対いない。だから、自分にできない範囲は、それができる人の力を借りることが大事だ。

夢を叶える男の子の育て方(うまのブログ)#11

金メダルと銅メダルの違い

 

『オリンピックで金メダルを取る選手と、銅メダルの選手の間にある決定的な違いは何だろうか』

おそらくスタート前に、すでに金メダルと銅メダルは決まっていたに違いない。

ここに最もわかりやすい例がある。シドニー五輪の女子マラソンで金メダルを取った高橋尚子と、アトランタ五輪で銅メダルを取った有森裕子の違いである。

高橋はスタート直前にイヤホーンで好きな音楽を聴いていた。それは自分自身をリラックスさせるというよりむしろ好きな曲だからという感じであった。彼女はすでに自分が金メダルを取ることを当然のこととして確信していたのだ。

これに対して有森は三位でゴールインした後、「自分を褒めてあげたい」と三位である結果に満足したコメントを出した。この違いがわかるだろうか。

高橋の金メダルは取るべくしてとったメダルなのだ。これに対して有森のメダルはたまたま取れたメダルなのだ。彼女にはもちろんメダルを取る努力も能力もあった。金メダルを取る能力もあったかもしれない。ただ当然取れるという心の準備はなかったと思う。つまり、物事を達成するにはこの当然という心の準備が大事なのだ。

このことは人生の途中で起きる多くの通過点でも言えることなのだ。例えば受験。自分の志望校に入るための努力は誰でもするだろう。ただ自分が当然合格できるというところまで努力をする人は少ない。当然合格と思うまで努力した人は必ず合格する。自分が当然社会で大成功すると思って準備した人は、いつの日か必ず大成功している。これが人生の法則なのだ。

夢を叶える男の子の育て方(うまのブログ)#10

楽しむこと、夢中になることの大切さ

 

『いやなことはやめろ、我慢して無理してするな。何の得にもならない。本来仕事や人生は楽しくなくてはいけない。それもとびきり楽しいのが良い』

仕事を継続するには楽しくなければならない。つらいことやつまらないことは、途中でやめたくなってしまうし、続かない。

楽しいこと、好きなことは、苦しくてもつらくても続くし、休みを取りたいとも思わなくなるくらい楽しい。楽しみながらすることはいつの間にか、高いレベルになっていることが多いものだ。

人生のなかで楽しいことを持っていないのは不幸せ。趣味が楽しい人は大勢いるが、仕事が楽しい人は少ない。仕事も楽しいに越したことはないし、その方が確実に成功しやすい。だから楽しい仕事をするべきである。

楽しむためにはまず義務感を捨てること。「ねばならない」とか「しないといけない」という義務感や拘束感は捨てよう。

人生では楽しいことをたくさん持っていることが、理想的で幸せなこと。

好きなことをしないことも大切。好きなことは苦しくない。つらくない。だから長続きして夢がかないやすいのだ。

夢を叶える男の子の育て方(うまのブログ)#9

苦戦時の対策

 

『まず深呼吸して不安を取り除け。そして風向きが変わるのを待て。それでもだめなときは環境を変えよう』

苦戦の原因を徹底的に究明する。矢印を引き原因の原因の、そのまた原因を見つけてみる。正体が分かれば恐怖がなくなる。いじめなどのような正体がはっきりしないものからは逃げたほうが良い。

苦しい時にいろいろ工夫することによって良い種が生まれ、順調な時に油断することが多くの悪い種を生む。これは世の常である。

苦戦の時はイチかバチかの勝負はしないこと、必ず失敗する。遊びでする賭け事は成功することもあるが、すべてを賭けての勝負はまず負けると思え。

大苦戦の時は戦わず、逃げられる限り逃げよ。学校でいじめなどにあって大苦戦したら、迷わず転校したほうが良い。いじめなど理屈に合わないことが社会にはある。これといくら戦っても徒労に終わるだけである。中国の有名な古典(「三十六計」)でも、「最後の最も有効な戦略は逃げることである」と言っている。逃げる決断はむずかしい、しかし大切だ。真の勇気が問われる場面でもある。

夢を叶える男の子の育て方(うまのブログ)#8

人間的魅力について

 

『器が大きいとは損ができること、無駄ができること、人を許せること。器の大きい人物を目指そう』

自分の長所、短所をよく把握しておくこと

自分がどんな性格で、得意なこと不得意なことが何かも把握しておこう。そうすれば、自分の長所と短所もわかり、状況に応じて自分の能力を使い分けることができるものだ。

人には絶対的な魅力などない、自分の魅力を理解しよう

自分の魅力を理解し、それを磨くことが大切なのである。長所は時と場合によっては短所になることもあり、短所はまた長所になることがあるものだ。

概して積極思考、プラス思考の人は魅力的

暗い人、元気のない人を見ると周りの人は気を遣い心配する。人に心配をかけるようでは甘えが先に立っている。プラス思考の人は、人に心配や不安を与えることが少ない。明るく前向きというだけで、周りの人はホッとするものだ。

人の話をよく聴く人は魅力的、人の話を肯定する人は魅力的

人に好かれる方法を教えよう。友達を作る時、恋人を作る時、この方法を使えば大成功は間違いない。

それはひとことで言うと、相手の意見や考え方に対して絶対に否定せず肯定することなのだ。人は誰でも自分の意見や考えに同調してくれる人は貴重だ。だから必ず肯定してくれる君は、相手にとってものすごく重要で大切な存在になるのだ。その結果相手も君のことが大好きになるものなのだ。一つ試してみてほしい。嘘のようにうまくいく。

人の考えや行動や結果を否定しない人は魅力的

世の中はそんなに甘くないよと言う人がよくいる。しかし、そう言って諦める人より、諦めずにぶつかっていける人の方が魅力的であり、そういう人は決して世の中は甘くないなんて偉そうな言い方はしないものだ。

容量の大きな、いろいろなタイプの人を受け入れることができる人は魅力的

人の能力には技能(英語が話せるとか、絵がうまいとか、足が速いなどの能力)と器量(好き嫌いがないとか、どんな環境でも、どんな人でも受け入れられる心の広さなど)の二つがある。技能は君の武器であり、器量は君の力の大きさともいえるのだ。

・反応(人の要望に対する答え)の早い人は魅力的

早く答えてくれる人は誠意を感じるが、頼んだことをなかなかやってくれない人は、誠意がないと思われる。だからとにかく人の頼みや質問には、できるだけ早く反応すべきである。

・勤勉な人、結果を出す人は魅力的

これは当たり前、勤勉で努力家は必ず結果を出す。結果を出す人はみんなから信頼され、尊敬されるようになる。やはりどんな場合でもまじめな努力は欠かせない。

・一つのことに一途で誠実な人は魅力的

どんな場合でも一つのことに打ち込むことは、その道の専門家として生きる道が見つかるだけでなく、大勢の人に頼りにされ、人の役に立つものである。

明るい人は魅力的

明るさというものは太陽みたいなものだ。太陽がなければこの世は暗黒の世界だ。明るい人はみんなを照らし、みんなを励まし、みんなを勇気付ける。そして最後に暖かさで包んでくれる。明るい人はどんな場合でも魅力的である。

・他に共鳴してくれる人は魅力的

自分が感動したり、感心したり、悲しんだりした時、一緒に同じように共鳴してくれる人は大切な人だ。同じような感性を持つその人のそばにいたくなるはずだ。

自己を飾らず自然である人は魅力的

格好をつけずありのままでいることは、勇気がいるかもしれないが、実はそのほうが周りの人から見た時安心でき、信頼でき、心を許してくれるものだ。世の中の本物といわれる一流の人たちは、みなこのタイプである。

夢を叶える男の子の育て方(うまのブログ)#7

行動力と優先順位

 

『まずやってみよ。やるべきことの優先順位を決めておこう』

物事の優先順位を大切にする。まず自分の大切なもののベストテンを作ろう。やるべきことを重要な準備に並べたベストテンを作ろう。

準備にばかり時間をかけないこと、切り替えを早くすること。

考えてから走るより、走り出してから考えることも大切。

行動には素早さが肝心、満を持した行動は手遅れになることが多いから注意しよう。

120%の勝算がある時は迷わないで前進しよう。

120%の勝算のない時は様子を見ながら動くか、もう一度やるべきことを見直してみることが肝心だ。

素早い行動は勝つ確率と守る確率を高めるから、早め早めに手を打つことが大事である。

夢を叶える男の子の育て方(うまのブログ)#6

奇跡の話

 

今から五十年以上も前の話です。

静岡県のある港町から、数隻のマグロはえ縄漁の漁船団が、六月のある日に南太平洋に向けて出発しました。この中の一隻に十五歳の好奇心の強い、まだまだ子供らしさの抜けない明るい少年が乗り組んでいました。名前は健介。彼にとっては初めての遠洋航海で、胸をときめかせて乗り組んでいました。

やがて、漁船団が日本から二週間以上の日数をかけて、はるばる漁場であるマリアナ諸島の海域に到着した時のことです。不運なことに、この海域ではこの時期としては珍しい台風が突然発生しました。あまりに急激に台風が大きく成長したために、漁船団の船の多くは逃げ遅れ、南太平洋の強風と高波に飲み込まれてしまいました。そして、この台風は多くの漁船とその船員の命を奪い、この遭難事件は大きなニュースとして新聞にも取り上げられました。

この時の出来事です。健介少年の乗っていた船も例外ではなく遭難し、彼は夜の海にたった一人投げ出されてしまいました。

「きっと誰かがすぐに助けてくれるさ」と健介はさほど心配もせずに、得意の水泳で暗い波間を漂っていました。しかし風はますます激しくなり、波はどんどん高くなりもう泳ぐのも精一杯になりました。

「がんばりなさい。あきらめてはだめよ。必ず助かるわよ。がんばるのよ。」

母の声が健介の耳には、はっきりと聞こえたのです。

「大丈夫、母さん心配かけてごめんなさい。絶対に死なないから」

健介は心の中で叫びました。しかしそれもやがて波間に消えて、漂流する少年の意識は次第に遠のいていきました。

どのくらいの間気を失っていたことでしょうか。しばらくして自分が大きな船板にしがみついていることに気がつきました。こんなことを繰り返して少年の心は少しずつ不安と諦めの気持ちに支配されそうになりました。そんな時には大人の身体くらいあるこの木片に話しかけ、さびしさと不安を紛らわしながら漂っていました。

木片と共に二昼夜がたったころです。健介は運よく駆けつけた救助の船団に助けられました。救助船は三日三晩捜索をしましたが、結局この少年一人だけしか生存者は見つけられず、日本に引き返すことになりました。この救助船が引き返して三日目のことです。長い眠りから目を覚ました健介は、救助船の船長に尋ねました。

「僕と一緒にいた船板はどこですか?僕がしがみついていた木はどこにありますか」

船長は当たり前ですが、「君を助けた時に捨ててしまったよ」と言いました。

「どうかお願いですから、僕と一緒にいた船板を探してください。あれは僕の命の恩人なのです。あの板がなければ、僕は生き延びることができませんでした。お願いします、お願いします。どうかあの板を探してください」

健介の哀願に船長はしばらく困惑の表情を浮かべながら考えました。

「遭難現場の南太平洋からもう二日と半日も北に来てしまっているし、戻って板切れを探しても見つかる確率なんてほぼ0%にちがいない。誰もがそう思うだろう。何しろ広い砂浜の中に落ちている一ミリの大きさの落とし物を見つけるようなものだ。でもこの少年がこんなにたのむなんて気になるなあ」

しかし、ここで一回目の奇跡が起きました。船長は遭難現場を後にして三日も経っているというのに、なんと現場に引き返す決断をしたのです。健介の真剣な表情と気持ちが船長の心を動かしたのです。

救助船は三日をかけて遭難現場の海域に到着しました。現場といっても北海道の面積よりも広い海域です。この中から長さわずか二メートルほどの板切れなんて見つかるわけもありません。優しい船長の指示でまる二日間捜索をしましたが、結局何も見つからず船は引き返すことになりました。

「ありがとうございました。ご迷惑をおかけしました」

肩を落とした健介は涙を流しながらお詫びとお礼を言いました。

現場海域から離れる最後の夜、真っ暗な海面をサーチライトで照らしながら捜索船は日本に引き返すことにしました。やがて夜もふけて空には南十字星が輝いていました。

この時、二回目の奇跡が起きたのです。それはあまりに突然やってきました。真っ暗な海域を照らす、サーチライトの輪の中に何かが動いたのです。漂流物が見えたのです。そう、奇跡が起きたのです。

そこにはやはり板切れにしがみついてただよっている生存者たちがいたのです。この台風で遭難した日本の七人の漁師たちが、息も絶え絶えの状態で、やはり板切れや救命道具にしがみついて暗い波間を漂っていたのです。

健介少年の船板は結局見つかりませんでしたが、代わりに尊い七人の命が救われたのです。

ひょっとすると神様が板切れになって健介と七人の漁師の命を救ってくれたのかもしれません。

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